抄録
COP3で示された地球温暖化問題解決へのアプローチは対症療法に過ぎず、この延長線上に広範な地球環境問題の本格的な解決はない。求められているのは、やはり問題解決への原因療法である。ここで注目されるべきが、大容量のクリーン・エネルギー源たる宇宙太陽発電である。しかし、この実用化には克服すべき課題がある。最大のものが電力価格であり、それを規定するのが、太陽発電衛星の地球軌道への打ち上げコストである。この高価格構造の民間活力による克服が既に、単段式再使用型往還機方式等を媒介に始まっている。世界で最初の宇宙太陽発電のパイロット・プラント実現を目指す我が国のSPS2000という先進導坑的な実験プロジェクトの推進を通して、マクロエンジニアリング外交による地球環境問題解決への方途が広く超領域的かつ先端技術による新産業の創出を媒介に論議され、産業経済の地動説経済化というコペルニクス的転回が演繹される。