MACRO REVIEW
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地球環境圏における物質の滞留時間とエントロピー変化
綿抜 邦彦
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1989 年 2 巻 1 号 p. 25-28

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抄録

自然の物質の流れに抗して人為的な流れをつくるとき,自然環境に異常が生じる。二酸化炭素問題はその一例で,物質循環に対して時定数を著しく変化させたところに問題がある。自然環境の保全のためには人為的に変換された物質循環の時定数をもとにもどすような努力をしなければならない。 物質の流れで重要なもうひとつの問題は,自然環境におけるエントロピーの問題である。エントロピ一の増大した物質を回収するのは困難であり,また回収には多大のエネルギーを必要とする。エントロピーの小さいうちに物質を回収するほうが人類の歴史を考えるとき本当は経済的になるはずである。 物質循環における時定数の変換ということ,エントロピーの増大しないうちに回収するということ,このような発想の転換が地球環境の保全のためには必要なのである。

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