日本健康・栄養システム学会誌
Online ISSN : 2758-3309
Print ISSN : 2432-3438
介護保険施設入所高齢者における入院、死亡に関わる 低栄養とミールラウンドによる観察項目との関連
藤川 亜沙美 高田 健人長瀬 香織松本 菜々榎 裕美髙田 和子大原 里子小山 秀夫杉山 みち子
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2018 年 18 巻 2 号 p. 12-20

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抄録
目的:本研究は、介護保険施設に入所する高齢者における入院、死亡に低栄養は関連すること、さらに、低 栄養と関連するミールラウンドによる観察項目を検討することを目的とした。 方法:日本健康・栄養システム学会認定臨床栄養師がいる、あるいは認定臨床研修施設である35介護保険施 設(特養22施設、老健13施設)の入所高齢者1,646名が対象として登録された。平成25年10月~12月のベース ライン時のBody Mass Index(BMI)やミールラウンドによって観察された状況、さらに1年間の入院、死亡 の発生日を追跡した。ベースライン時のBMI18.5kg/m2未満を低栄養とし、1年間の入院、死亡発生との関連 をCox 比例ハザード分析により検討した。また、ベースライン時のミールラウンドによる観察項目(全35項目) と低栄養との関連をロジスティック回帰分析(ステップワイズ法)によって検討した。 結果:ベースライン時には524名(31.8 %)に低栄養が認められ、その後、1年間の入院に対するハザード比 は1.28 [CI : 1.02-1.59,p=0.028]、死亡に対するハザ-ド比は1.84 [CI : 1.41-2.40,p<0.001] であった。ベー スライン時のミールラウンドによる観察項目のうち、【噛むことが困難である】、【硬い食べ物を避け、軟らかい 食べ物ばかり食べる】、【食べるときに下顎が出る】、【興奮・大声・暴言・暴力】、【失行】が独立した要因として、 低栄養と関連した。 結論:低栄養は入院や死亡のリスクを高めることから、低栄養に関連する要因をミールラウンドにより把握 することが重要である。 キーワード:高齢者、低栄養、ミールラウンド、入院、死亡
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© 2018 一般社団法人日本健康・栄養システム学会
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