この研究の目的は, 高齢者施設での推定エネルギー必要量(EER)の算定方法について安静時代謝量(REE)
と身体活動レベル(PAL)の2 つの要素から検討することである。対象者は70歳以上の高齢者施設入所中の
女性23名である。対象者の概況調査, 身体計測, REE 測定, 総エネルギー消費量(TEE)測定, 身体活動量調
査, 食事調査を行った。TEE は二重標識水法により23名の内14名に実施した。REE(実測REE)は1,025±
206kcal/ 日であった。14名のTEE は1,135±213kcal/ 日, PAL は1.2±0.3(0.8~1.7)であった。食事摂取基
準に記載されている5 つの推定REE を実測REE と比較すると推定誤差が大きく, どの推定式も当てはまら
なかった。身長と要介護度が推定誤差に影響していた。高齢者施設入所者のPAL による生活内容は, 1日の
96.4 %を臥位と座位で過ごしており, 1日の半分以上を臥位で過ごしていると臥床生活にあたると判断できた。
食事摂取基準に準じたEER の算定の方法は, 高齢者施設では適切ではないではない可能性が示唆された。
キーワード:推定エネルギー必要量, 高齢者施設, 安静時代謝量, 身体活動レベル, 総エネルギー消費量
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