抄録
本研究の目的は,学校運営協議会制度(コミュニティ・スクール:CS)を導入した学校として,
家庭,地域,関係機関等との連携・協働による学校防災の取組を継続的に推進してきている横
浜市立北綱島小学校の実績と活動モデルを通して,CS の枠組みを活かして学校防災を推進することの有効性と持続可能性を示すことである。北綱島小学校の約10年間にわたる中期学校経営方針の変遷をはじめとする関係資料の収集,北綱島小学校における地域防災拠点訓練の現地調査に基づいて考察を行った。
その結果,学校防災を推進するにあたり,我が国の既存制度であるCS は有効かつ持続可能な枠組みであることや,学校と家庭,地域とが相互の強みを生かし合った質の高い協働に基づいた北綱島小学校の学校防災の取組は,他の学校や地域が学ぶべきロールモデルであること,学校の経営方針や重点取組目標に学校・家庭・地域が連携した防災活動を掲げ,CS の枠組みを活用した実践の蓄積は,持続可能な防災まちづくりと防災人材育成の副産物をもたらすことなどを示した。