自然災害科学
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報告
土砂災害に対する潜在的な人的被害の可能性 -2021年8月豪雨における青森県風間浦村の事例 より-
中村 智行
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2024 年 43 巻 1 号 p. 59-74

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抄録
青森県風間浦村では,2021年8月の豪雨により,土砂災害の可能性が非常に高くなったことから全域に「避難指示」を発表した。この事例では,人的被害は発生しなかったが,致命的な災害が十分に考えられたことから,全世帯を対象としたアンケート調査等を実施し,避難行動の特徴を明らかにするとともに,土砂災害に対する潜在的な人的被害の可能性を検討した。その結果,住民のとった行動は, 4つのタイプに分類することができた。特に,「下風呂地区」では,今後も土砂災害の可能性が非常に高くなったとしても, 3分の1近くの住民が立退き避難しない可能性が高い。そのため,土砂災害に対する人的被害の可能性は「非常に高い」と評価された。今後は,住民の経験バイアスを取り除く防災教育が急務である。
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© 2024 日本自然災害学会
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