抄録
2022年8月3日~ 4日にかけて,新潟県下越地域では線状降水帯が発生し,記録的な豪雨となった。1時間雨量約150 mm に達する強烈な雨によって,山地斜面では崩壊面積率8.3%を示す多数の表層崩壊が発生した。村上市小岩内では,深夜に流木を伴った土砂流が発生した。幸いなことに犠牲者は0名であったが,流木による流路閉塞によって,流路沿いの住家の倒壊や浸水による被害が確認された。住民が避難するきっかけとなったのは,土砂災害警戒情報ではなく荒川の氾濫リスク情報に基づく避難指示の発令に由来しており,結果として安全に避難するためのリードタイムの確保につながった。また,1967年羽越水害の教訓や,村上市の防災士養成事業による効果が適切な避難行動につながった。