抄録
木造住宅は全国至るところに建設されている。それらは現行規定に合致しない既存不適格の1981年以前に建設された旧耐震,そして1995年兵庫県南部地震の地震被害を踏まえて明確された法令で建てられている2000年以降のもの,さらに旧耐震と2000年以前の耐力壁周辺接合部や耐力壁の釣り合いの良い配置に問題のある1981年以降2000年までの三世代で構成されている。大地震が起こると,旧耐震の住宅で倒壊を含む大きな被害が発生する。そして1981年以降で設計に不備があるようなものが狙いうちされ倒壊に至ってしまう。それらを耐震化する方法はすでに確立れており,技術としてあるが,補強や診断などは進まず,結局のところ大地震が起こるたびに同じ被害が繰り返されてしまっている。2024年4 月に法令が改正される。それは省エネ住宅に関わる改正であるが,建物重量を考慮して適正な耐震化も図られる。最近の木造建築の課題はCLT といったマスティンバーの利用や他構造と木質材料を組み合わせた構造に関する研究である。また,制振や集成材を使ったラーメン構造なども依然研究対象である。