自然災害科学
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南海トラフ地震の発生後を想定した物資需要に関する地域住民の認識-和歌山県印南町切目地域を事例に-
田中 佑哉小柴 大樹宮本 尚輝照本 清峰
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2024 年 43 巻 S11 号 p. 45-59

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抄録
本研究では,想定される南海トラフ地震による激甚被災地域の地域住民を対象として,災害発生後の支援物資の調達と物資需要の認識を明らかにすることを目的とする。支援物資の対応に関する地域住民の期間の感覚を把握するとともに,属性間の物資需要の違いにも着目して分析する。南海トラフ地震による大規模災害への備えに関する住民の方々の考えを把握することをねらいとして,質問紙調査を実施した。調査対象地域は和歌山県印南町切目地域内にある南海トラフ巨大地震の浸水予想範囲に含まれる地区であり,同地区に居住する全世帯を対象にしている。調査票は印南町役場から各地区の区長を通じて全世帯に配布し,郵送によって回収した。調査実施期間は2023年10月27日から11月28日である。質問紙調査票の配布数は674票であり,有効回答数は238票(有効回答率35.3%)であった。本研究の成果として,物資の需要については食料に次いで携帯トイレ・簡易トイレ,トイレットペーパーが続いておりトイレに関連する需要は高いこと,世帯属性として通院の有無の比較では,大人用おむつと食事用の用具の項目で,通院の必要性の高い属性で需要の割合が高いこと等が示された。
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© 2024 日本自然災害学会
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