2012 年 6 巻 1 号 p. 40-45
【目的】頚部内頚動脈の線維筋性形成異常症(FMD)に起因した左中大脳動脈塞栓症の1例を報告する.【症例】47歳,女性.失語症,右片麻痺を発症し,MRI拡散強調画像で左前頭葉・島皮質に高信号域を認め,頚部MRAで左頚部内頚動脈の壁不整,頭部MRAで左中大脳動脈閉塞を認めた.rt-PA静注療法は適応外で,脳血管内手術による血行再建を計画し,左総頚動脈撮影にてFMDと診断した.閉塞部位が左M1遠位からM2に及んでおり血栓回収療法は行わずバルーンによる機械的血栓破砕療法を行い再開通を認め,良好な転帰が得られた.【結論】左中大脳動脈急性閉塞はFMDからの動脈原性塞栓が示唆され,バルーンによる機械的血栓破砕療法を行った稀な1例であった.