2022 年 19 巻 2 号 p. 1-13
本研究は,新人看護師のアサーティブと職場環境認識の関係性を明らかにすることを目的にシステマティックレビューを行った.
システマティックレビューは,PRISMA(Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses)ガイドラインに従って行った.医中誌(医学中央雑誌),PubMed(PubMedⓇ)にて「新人看護師」「アサーティブ」「職場環境」又は「new nurses」「assertive communication」「work environment」を検索キーワードに用いた.抽出された2721件(医中誌82件,PubMed2639件)から,採択基準を満たした10文献を分析した.
新人看護師のアサーティブを測定している尺度は2つあった.日本独自の看護師のアサーティブを捉えることや分析結果の解釈が難しいことが課題であった.職場環境認識において特定の尺度は使用されておらず,相談相手の有無や仕事量などについて調査していた.
アサーティブ下位尺度得点の「個人的達成」が低い新人看護師は,オッズ比(OR)が2.62倍高く,リアリティショックのORは1.87であり,非職業コミットメントは1.55であった.このような新人看護師は,他者の意見を優先し自分の意見を堪える傾向があるため,精神的負担がかかりバーンアウトに陥りやすい.またアサーティブな態度の一つである受け入れるという行動が苦手なために職場環境も受け入れにくく仕事への意味を見出しにくい可能性が指摘された.さらに,職場環境において職場に相談相手がいない新人看護師の職場環境認識とバーンアウト,リアリティショック,非職業コミットメントとの関連があった.
新人看護師のアサーティブと職場環境認識の関連を調べた論文はなかった.しかし,バーンアウトやリアリティショック,非職業コミットメントには新人看護師のアサーティブもしくは新人看護師の職場環境認識が関係していたことから,新人看護師がアサーティブになれるかどうかは職場環境認識と関係している可能性が示唆された.