Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
C5前根障害により麻痺を呈した近位型頚椎症性筋萎縮症における椎間孔評価と頚椎前方固定の間接的除圧効果
柴田 達也田中 潤塩川 晃章柴田 遼眞田 京一萩原 秀祐山本 卓明
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2021 年 12 巻 12 号 p. 1356-1361

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抄録

はじめに:我々は,C5前根障害により麻痺を呈した近位型頚椎症性筋萎縮症に対して,椎間孔の開大による前根症状の改善を期待して原則前方固定を行っており,良好な結果が得られている.今回,術前・術後の椎間孔の高さや前後径の変化が麻痺の改善に関与するかを検討した.

対象と方法:C4/5前方固定を行った19例を対象とした.C5前根障害により麻痺(三角筋および上腕二頭筋の筋力:MMT3以下)を呈した近位型頚椎症性筋萎縮症10例をC5麻痺あり群,麻痺はないが上肢痛やしびれを認めた頚椎症性神経根症9例をC5麻痺なし群とした.術前と術後1週の頚椎CTを用い,患側と健側のC4/5椎間孔の高さと前後径を比較検討した.

結果:C5麻痺あり群において,患側の椎間孔は前後径が平均2.3 mmと狭く,術後は高さ・前後径ともに増加していた.全ての症例で,三角筋および上腕二頭筋の筋力はMMT4以上に改善した.

結語:椎間孔の前後径の狭小化がC5麻痺に関与し,前方固定の際,骨棘を削除しなくとも椎間孔の前後径は開大したと推察され,間接的除圧に加えて固定効果によりC5麻痺は全例改善した.

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© 2021 Journal of Spine Research編集委員会
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