2018 年 67 巻 4 号 p. 422-426
医療経済評価において,QALY(quality adjusted life years: 質調整生存年)を算出するためには,選好に基づく尺度により測定されたQOL値が必要である.プロファイル型等の非選好型QOL尺度により測定されたスコアを医療経済評価に活用するために,近年「マッピング」と呼ばれる手法が用いられることが多くなってきている.マッピングは,非選好型尺度の測定値から選好型尺度により測定されるQOL値を予測するための手法であり,このマッピングの関数(あるいは変換方式等)を推定することが目的で実施される.このマッピングに関する研究報告については,23項目からなるMAPS声明が作成されており,筆者らによりその詳細を含め全訳されている.この全訳については,本解説のAppendixを参照されたい.マッピング研究は,現状のところその質につき玉石混淆の状況であるが,MAPS声明に従った質の高い報告が行われることにより,マッピング研究の活用可能性も広がっていくのではないかと考えられる.