保健医療科学
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論文
静岡県における二次医療圏別入院医療需給状況の分析
山田 友世竹内 浩視尾島 俊之
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2021 年 70 巻 3 号 p. 296-305

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抄録

目的:静岡県における二次医療圏別の入院医療需給状況を分析し,各圏域の果たす医療需給上の役割と連携状況について検討し,医療提供体制の課題を明らかにする.

方法:静岡県統計年鑑と患者調査の結果を用いて,静岡県と二次医療圏毎の人口・地理・患者背景,患者の受療動向について検討した.入院医療需給状況分析のための 4 指標(自域完結率,自域患者率,依存度エントロピー,診療圏エントロピー)を定め,算出した.4指標をもとに行った主成分分析結果に基づき,二次医療圏を医療需給上の特性で分類した.ICD-10に準拠した傷病分類別入院患者数をもとに,各圏域における流出入の傾向について検討した.

結果:『駿東田方』,『静岡』と『西部』は,県内における中心的医療圏としての役割を担っていた.『駿東田方』では「新生物」における広い診療圏を抱え,県東部の救急診療における集約的役割を担っていた.『西部』では「脳血管疾患」における圏域内医療格差が課題として示された.県内唯一の「過疎地域医療圏」である『賀茂』では医療体制の強化が認められたが,三次救急を中心とする『駿東田方』への限定的依存が課題として示された.『熱海伊東』では患者流出入が共に多く,多圏域との「連携型」医療特性を示した.『志太榛原』は多圏域への患者流出を認め,分散型の依存特性を示した.

結論:静岡県における各二次医療圏の医療需給上の役割と課題を明らかにした.更なる分析の継続が,地域における質の高い医療体制の確保につながると考えられた.

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© 2021 国立保健医療科学院
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