2021 年 70 巻 4 号 p. 377-384
近年の児童虐待防止対策の強化を図るための法改正を含むさまざまな動向の中で,児童相談所などの相談機関における,子ども虐待相談,非行相談,ひきこもり・不登校などの育成相談など,子どものあらゆる問題への相談に適切に対応するソーシャルワークの専門性を十分に身につけた専門職の育成が重要課題の一つとなっている.ここでは,「児童福祉司を中心とした子ども家庭福祉に携わる者の資質向上について」,その中でも特に,子ども家庭ソーシャルワーカーの獲得すべき専門性として,子どものあらゆる問題への相談に適切に対応し,子どもの健全育成を図るために必要な専門性(専門的知識・技術・態度)とは何かを明確した到達目標の内容について触れる.その上で,その専門性を獲得するために,どのような養成課程が必要であり,その専門性を獲得させるための国家資格化はどのようなしくみが望ましいのか,そのあり方について以下の 4 点から検討した.
(1)厚生労働省に設置された「子ども家庭福祉に関し専門的な知識・技術を必要とする支援を行う者の資格の在り方その他資質の向上策に関するワーキンググループ」による,子ども家庭福祉分野における支援者の専門性の向上に関して,①子ども家庭福祉分野の資格の在り方,②研修・人材養成の在り方,③人事制度・キャリアパスの在り方について,目指すべき方向性を議論し整理されたとりまとめのポイントを示した.
(2)子ども家庭ソーシャルワーカーの獲得すべき専門性として,厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知「児童福祉司等及び要保護児童対策調整機関の調整担当者の研修等の実施について」において,義務研修である児童福祉司任用後研修の到達目標をもとに具体的に示した.
(3)子ども家庭ソーシャルワーカーとして修得すべき到達目標を達成するための養成カリキュラムについて,実践現場でスーパーバイズを受けながらの実務経験を積んでいくことが専門性を獲得するための効果的な方法であることを述べた.
(4)大学教育における国家資格の社会福祉士取得の教育が知識偏重にならざるを得ない難しい現状を紹介した.
これらを踏まえ,子ども家庭ソーシャルワーカーという国家資格化に向けた養成のあり方については,実践能力の修得や実践力の向上という課題を解決するために,一定の実務経験や実習経験があるといった条件をつけるなど,課題解決のためのしくみを考えていく必要があると結論づけた.