保健医療科学
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在宅難病療養者とその家族の災害対策
奥田 博子
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2021 年 70 巻 5 号 p. 488-494

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抄録

近年,壊滅的な被害をもたらす規模の災害が頻発化する傾向にある.このような災害発生後,地域において迅速な支援を要する住民は,救急医療を要する重篤な負傷者や,人工呼吸器などの医療機器を装着する難病患者を含む在宅療養者である.

2011年に発生した東日本大震災は,戦後わが国で最大規模の人的・物的被害をもたらした.この震災時の対応の検証を踏まえ,災害対策基本法の一部が改正(2013年 6 月)され,避難行動要支援者名簿の作成が義務化された(災害対策基本法49条の10).さらに,その後も頻発する災害時の犠牲者の多くが,高齢者や障害者であることから,ハンディキャップを持つ人々への一層の防災対策の必要性が示唆された.そこで2021年 5 月,災害対策基本法の一部改正が行われ,区市町村に対し避難行動要支援者ごとの個別避難計画の作成が努力義務化された.また,個別避難計画の作成に必要な,個人情報の利用及び個別避難計画の活用に関する平常時と災害発生時における避難支援等関係者への情報提供について,個人情報保護条例等との関係を整理し規定を新設した.避難行動要支援者名簿の作成の義務化から約 8 年が経過し,名簿作成は全国の自治体において着手されているが,個別避難計画の作成済み市町村は約 1 割にとどまる.さらに,避難行動要支援者名簿への難病患者の掲載割合は約 6 割であり,支援を要する対象者が掲載されていない可能性がある.

本稿では,災害時に配慮を必要とする者に関する国の対策の変遷と,在宅難病療養者とその家族の尊厳を保持し,地域で安心して生活を営む観点から,在宅難病療養者の災害対策上の課題を整理する.

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© 2021 国立保健医療科学院
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