2025 年 31 巻 4 号 p. 238-244
二次性肝外門脈閉塞症で脾静脈(SpV)・上腸間膜静脈(SMV)合流部の高度狭窄が疑われた症例に多段階的meso-Rexバイパス手術を行った.反復する挙上脚小腸出血で発症,15歳時に当科紹介.脾腎シャント(SRS)と挙上脚静脈瘤を認めたが,SRS閉塞造影でSpV・SMV合流部の開存が確認できなかった.Yグラフト間置でSRSと遠肝性SMV側副路離断部を再開通した臍静脈と吻合しspleno-meso-Rexバイパスとした.術後早期に後者の血流は途絶,spleno-Rexバイパス血流は良好だが脾腫や血小板数に著明な改善なく挙上脚小腸出血が再発.画像再検でSpV・SMV合流部の交通を確認,17歳時,spleno-Rexバイパスグラフト上流側をSMV本幹に変更し,典型的meso-Rexバイパスにスイッチしたところ血小板が増多.SpV・SMV合流部の開存不十分例に多段階手術が有用となりうる.