霊長類研究 Supplement
第23回日本霊長類学会大会
セッションID: A-08
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口頭発表
勝山ニホンザル集団における母ザルの子ザルに対するマターナル・モニタリング行動
*大西 賢治中道 正之
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抄録
サル類を対象とした母子関係の研究において、母子が離れた場面はほとんど注目されてこなかった。しかし、母ザルが自分から離れたところにいる子ザルに対してどのように関わるのかは、母子関係を考える上で重要である。本研究では、母ザルが子ザルを見る行動であるマターナル・モニタリング行動(Maternal visual monitoring of the infant)に注目する。子ザルの週齢、母子間の距離、母子それぞれが何をしているのかが、マターナル・モニタリング行動の生起頻度にどのように影響しているのかを検討した。勝山ニホンザル集団において、0歳齢の子ザルとその母ザル16組を対象として研究を行った。観察期間は2005年7-10月と2006年5-10月までの間の166日間であった。子ザルの7-8週齢から19-20週齢までを観察し、観察期間を2週齢ごとに7期間に分けた。1セッション20分間の連続観察を、子ザルの週齢区分ごとに2時間、各母子ペアにつき14時間行った。子ザルが手の届く範囲にいるときのマターナル・モニタリング行動の生起頻度は、子ザルの週齢によって変化しなかった。しかし、子ザルが手の届く範囲よりも離れたところにいるときには、マターナル・モニタリング行動の生起頻度は子ザルの週齢が上がるにつれて減少した。母ザルは、子ザルが移動しているときには他の行動を行っているときよりも頻繁にマターナル・モニタリング行動を行っていた。マターナル・モニタリング行動の生起頻度は、「毛づくろい」と「移動・採食」を行っているときに低下し、「休息」と「スクラッチ」を行っているときに上昇した。母ザルは、子ザルがより危険であると考えられる状況において子ザルをよく見ていたが、自分がマターナル・モニタリング行動を行うことのできない行動を行っているときには子ザルに注意を向けていなかった。
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© 2007 日本霊長類学会
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