保健医療科学
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新型コロナウイルス感染症に対する日本政府の対応
正林 督章
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2022 年 71 巻 4 号 p. 280-291

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抄録

日本における最初のケースは2020年 1 月15日に発生した神奈川県の感染事例だが,その後武漢からの帰国者やダイヤモンド・プリンセス号への対応など主に水際対策を中心に対策を行ってきた.また,サーベイランスシステムの構築や積極的疫学調査のガイドラインの策定,検査体制や医療提供体制の構築のための準備などを行った.厚生労働省内には新型コロナウイルス対策本部が設置されるとともに政府全体での対応が必要なことから総理を本部長とする政府の新型コロナウイルス対策本部も設置された.さらにアドバイザリーボードや新型コロナウイルス感染症専門家会議など専門家の助言組織も設置されるなど初動対応を講じた.

4月に入っても感染拡大は収まる気配がなく,4 月 7 日には最初の緊急事態宣言を発出し,東京や大阪など一部の都道府県において緊急事態措置を講じた.4月15日に緊急事態措置の対象を全国に拡大したが,4月11日に 1 日感染者数644人とピークを迎えた後,減少に転じ,5月25日には緊急事態宣言を解除した.後にこの感染拡大は第 1 波と呼ばれることとなった.

その後 8 月には第 2 波,冬には第 3 波,2021年春には第 4 波,夏には第 5 波,2022年冬から春にかけて第 6 波,夏に第 7 波が到来した.この間,ウイルスは変異をとげながら世界中に広がった.

2020年当初からワクチンや医薬品の開発にも力を入れていたが,ワクチンについては各国の争奪戦になることが予想されたため,夏の段階から海外のワクチン製造業者と協議を重ね,契約を締結した.その結果,2021年 2 月から医療従事者を対象に接種が始まり,その後,市町村において接種体制を整備しながら高齢者や基礎疾患を有する方などに接種を拡大していき,多くの国民に 2 回目,3回目,4回目と接種を進めていった.

人口当たりの感染者数や死亡者数はこれまでのところ他の先進諸国と比較して大幅に少ない数で推移してきた.本稿では,政府の実施してきた,初動対応,組織やガバナンス,水際対策,サーベイランス,積極的疫学調査,保健所体制,検査体制,医療体制,ワクチン,医薬品,広報・リスクコミュニケーションなど様々な対応について振り返り,得られた教訓などをまとめた.

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© 2022 国立保健医療科学院
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