2022 年 59 巻 2 号 p. 124-128
急性骨髄性白血病(AML)は臨床的にも生物学的にも非常にヘテロな疾患である.次世代シーケンサーの登場以来,ゲノム解析技術の進展は目覚ましく,網羅的に遺伝子解析,融合遺伝子解析,発現解析等が行われてきた.その一方で未だに予後因子の同定できない症例が一定数存在しており,AMLにおける新規のbiomarkerの同定は急務である.
これまで成人のAMLではDNAメチル化パターンと細胞遺伝学的背景の関連が報告され,更にメチル化異常と予後との関係についても報告され始めている.小児AMLにおいても少ないながらDNAメチル化パターンと分子生物学的異常の関連,予後との関連について報告がされ始めてきた.筆者らは本邦の臨床試験であるJPLSG AML-05試験に登録された初発小児AML患者64例を対象に,genome-wideのDNAメチル化解析を行い,小児AMLにおけるDNAメチル化パターンの臨床的意義や分子生物学的背景との関係性,および予後との相関を比較検討した.その結果,特定のCpGサイトにおけるDNAメチル化レベルは,小児AML患者の遺伝子変化や遺伝子発現パターンを裏付けるのに有用であり,また,予後の層別に関しても有用である可能性を示し,今後の臨床への応用が期待された.本稿ではAMLにおけるこれまでのDNAメチル化研究および筆者らの研究を中心に,AMLにおけるDNAメチル化解析の意義を概説する.