保健医療科学
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第9期介護保険事業(支援)計画について
森山 葉子 柿沼 倫弘
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2024 年 73 巻 2 号 p. 118-125

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抄録

国が示す基本指針に基づき,市町村では介護保険事業計画,都道府県では介護保険事業支援計画を,3年を1期として策定することが,介護保険法により定められている.これらは,保険給付の円滑な実施のために策定され,介護保険事業計画では,種類ごとの介護サービス量の見込みを示し,また介護予防・重度化防止等の取組内容及び目標等を掲げ,これらが介護保険料の設定等につながる.都道府県には,保険者である市町村の支援が求められており,介護保険事業支援計画の中で,市町村への支援内容及び目標等を掲げることとなっている.

2000年度より介護保険制度がスタートし,2024年度からの3年間は第9期にあたる.この計画期間は団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となる2025年を含んでおり,地域包括ケアシステムの構築を始め,2025年を一つの目途として取り組んできた.今後は高齢者人口がピークを迎える2040年を見通し,さらなる少子高齢化の進展に向けた対策と,一方で地域により高齢化の進みが大きく異なるなど,より地域の実情に応じた施策を検討していく必要がある.

これら背景を踏まえ,第9期における介護保険事業(支援)計画では,大きく3つの対応として,1. 介護サービス基盤の計画的な整備,2. 地域包括ケアシステムの深化・推進に向けた取組,3. 地域包括ケアシステムを支える介護人材確保及び介護現場の生産性向上が挙げられた.地域の実情に応じた介護サービス基盤や,それを支える人材の確保,保険者機能の強化,地域共生社会の実現などに取り組んでいくことが求められている.

また,医療・介護の複合的なニーズを有する高齢者の増加が見込まれ,さらなる医療・介護の連携が重要となる.2024年度は第8次医療計画もスタートする.都道府県には地域医療構想を含めた医療計画における在宅医療の整備とともに,地域包括ケアシステムの構築を含めた介護保険事業(支援)計画による介護サービス量の確保が求められるため,都道府県と市町村の緊密な連携が図られなければならない.

要介護高齢者は増加する一方で,生産年齢人口の急減が見込まれる中,介護保険制度を持続可能な制度として維持するためにも,中長期的な視点で計画を立て,対策を講じていく必要がある.

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© 2024 国立保健医療科学院
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