保健医療科学
Online ISSN : 2432-0722
Print ISSN : 1347-6459
ISSN-L : 1347-6459
論文
新型コロナウイルス感染症流行下における看護系大学生の臨地実習日数と看護技術到達度との関連
梶原 志保子 楳田 恵子秋山 直美永坂 和子
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 73 巻 2 号 p. 147-158

詳細
抄録

目的:新型コロナウイルス感染症の流行は,看護基礎教育における臨地実習の実施を困難にした.臨地実習の中止や延期が相次ぎ,学内代替実習が実施された.本研究は,新型コロナウイルス感染症の流行の影響により十分な臨地実習を経験できなかった看護学生の看護技術習得状況を把握し,臨地実習日数の短縮は学生の看護技術の習得に影響を及ぼしたのかを検討する.

方法:A大学の看護学生の看護学実習における臨地実習日数と看護技術の自己評価による到達度を,既存データを使用し二次解析した.看護技術の習得状況を明らかにするため,144の看護技術別に厚生労働省の定める卒業時到達度を基準として,それに達した者と,達しなかった者の割合を算出した.次に,臨地実習日数短縮の看護技術習得への影響を検討するため,各学生の臨地実習日数と看護技術到達率との関係をスピアマンの相関係数を用いて分析した.さらに,看護技術別に卒業時到達度に到達した群と未到達の群の臨地実習日数の差を記述統計およびt検定を用いて分析した.すべての分析はEZR on R commander 1.61を用いて実施した.

結果:総実習日数のうち平均約47%しか臨地実習を経験できなかった看護学生の看護技術習得状況として,80%以上の者が卒業時到達度に到達した技術は144技術中22技術であり,感染予防技術,環境調整技術,バイタルサイン測定,アセスメント技術等であった.80%以上の者が卒業時到達度に到達しなかった技術は18技術で,患者に重大な影響を与える可能性のある治療・検査に伴う技術や特殊な状況への対応であった.これらは,新型コロナウイルス感染症流行以前の報告と傾向が一致していた.臨地実習日数と看護技術到達率の相関係数は-0.113(p=0.395)で有意な相関はなかった.9技術については未到達群の臨地実習日数が有意に高かった.

結論:臨地実習日数の短縮は学生の看護技術習得に明らかな影響を及ぼしたとは言えず,新型コロナウイルス感染症流行下の学内代替実習は学生の看護技術修得面において一定の効果があった可能性が示唆された.ただし,臨地実習における学生の学びは技術以外の部分が多大にあり,臨地実習日数の短縮による総合的な影響を評価するためには更なる調査が必要である.

著者関連情報
© 2024 国立保健医療科学院
前の記事 次の記事
feedback
Top