ネットワークポリマー
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生物模倣多層構造の導入による高靭性修復材料の開発
吉田 祥麻財前 穂波江島 広貴吉江 尚子
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2017 年 38 巻 3 号 p. 122-127

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抄録

アミド修飾ノルボルネンA のホモポリマーPA と,分子運動性を上昇させるドデカニルノルボルネンD とA のランダム共重合体P(D-r-A)のブロックからなるジブロック共重合体PA-b-P(D-r-A)を合成し,その相分離構造を原子間力顕微鏡により観察し,機械特性を引張試験により測定した。その結果,このポリマーは単純なランダム共重合体P(D-r-A)及びホモポリマーのジブロック共重合体PD-b-PA と比較して強靭化していることが確認された。これは,P(D-r-A)ブロックが形成する疎に水素結合したマトリックス中に,PA ブロックが形成する密に水素結合した島ドメインが存在する海島相分離構造によるものである。この構造により,マトリックス中の水素結合が効果的にエネルギーを分散することができる。また,破断したフィルムが加熱により再接合することも確認され,機械特性・修復性を両立することに成功した。

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© 2017 合成樹脂工業協会
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