保健医療科学
Online ISSN : 2432-0722
Print ISSN : 1347-6459
ISSN-L : 1347-6459
論文
福島第一原子力発電所事故後の食品中の放射性物質に対する諸外国の輸入規制への日本の対応
志村 勉 山口 一郎寺田 宙吉冨 真理牛山 明
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2025 年 74 巻 4 号 p. 412-419

詳細
抄録

2011年3月に発生した東日本大震災における福島第一原子力発電所事故による放射性物質の環境中への放出により,放射性物質による食品の汚染が懸念された.日本政府は事故の早期および中期段階の緊急時の対応として暫定的な規制値を設定するとともに,地方自治体に食品の検査を要請して規制値を超える濃度の食品の流通を制限した.事故から1年が経過し,長期段階の現存被ばく状況への移行に対応して,暫定規制値は国際機関の指針に従い見直し,事故からの回復期の食の安全を確保するため新たな基準値を設定した.他方,放射性物質汚染への不安から最大で55の国・地域において日本からの農林水産物と食品の輸入が規制された.その後,日本国内での食品を安全に供給する体制が継続して整備され,放射性物質の検査体制が充実され,食品の検査結果が広く国内外に公表されることにより,次第に日本の対策が理解され,事故から10年が経過した2021年頃には多くの国で輸入規制が撤廃された.本稿では,諸外国の輸入規制撤廃の経緯と日本の対応状況を比較し,今後求められる対応のあり方について検討を行う.

著者関連情報
© 2025 国立保健医療科学院

This article is licensed under a Creative Commons [Attribution 4.0 International] license.
https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/
前の記事
feedback
Top