日本臨床外科医学会雑誌
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術前に診断しえた上皮小体嚢胞の1例
前川 仁加藤 保之本吉 宏行曽和 融生紙野 建人梅山 馨須加野 誠治
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1988 年 49 巻 2 号 p. 278-284

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抄録
前頸部の嚢胞性疾患のなかで,上皮小体嚢胞はまれな疾患で,他の疾患との鑑別は困難である.近年では超音波診断および穿刺吸引診断で,術前に診断しえたものは徐々に増加し自験例を含めて本邦では12例,欧米文献で22例であった.
上皮小体嚢胞の成因としては, 1)胎生期遺残組織, 2)微小嚢胞の融合または貯溜による増大, 3) PTHの貯溜嚢胞, 4)腺腫または過形成の嚢胞化,などが考えられているが,これらの複雑な諸因子が関与していると思われる.画像診断としては,嚢胞の所見を有するのみで特異的所見はないが,甲状腺の圧排所見やその占拠部位により,疑うことはできる.術前診断の根拠としては,穿刺吸引液の性状が水様透明である点が特徴的であり,内容液のPTH値が高値を示すものが多い.治療法としては,単純摘出のみ行い,甲状腺の合併切除は不要とされている.
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