2018 年 4 巻 1 号 p. 20-24
脳出血は瘀血の状態と考えられ,駆瘀血剤を用いた瘀血症状の改善が脳浮腫および随伴症状の改善に有用であると言われている。また,瘀血の診断には舌診が有用である。我々は,駆瘀血剤を投与した脳出血患者の残存血腫率と舌所見の関連性を検討した。2017年4月から10月までの7ヵ月間に発症し,駆瘀血剤である桂枝茯苓丸および大黄製剤であるセンノシドを投与した脳出血患者7例を対象とし,口腔機能管理時に舌写真を定期的に撮影し,残存血腫率と舌所見の推移を検討した。舌所見の該当する項目数が多いほど残存血腫率が高い傾向が得られた。舌所見を加味することで,脳出血患者に対する駆瘀血剤の効果をより客観的に評価できる可能性があると考えられる。