脳神経外科と漢方
Online ISSN : 2758-1594
Print ISSN : 2189-5562
原著
頭部顔面外傷後遺症に対する漢方薬使用経験例の検討
郭 忠之
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2022 年 7 巻 1 号 p. 19-26

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抄録

頭部顔面外傷急性期の疼痛・腫脹などに対する駆瘀血剤の有用性は多く報告されており,その臨床効果を実感されている脳神経外科医もかなりいると思われる。しかし,実臨床においては外傷数日後,数週間ないしは数ヶ月経過して様々な身体の不調を訴えられ,外来受診や紹介される患者をよく経験する。そのような患者に対し隋証治療を行い奏功した12症例を経験した。診療録をもとに後方視的に症例の漢方学的所見に関して検討してみると,瘀血が9例と多かったが,それ以外にも冷えが7例に,水毒が8例に,気の異常が9例と高率に認められた。奏功した漢方薬方剤群の内訳では,利水剤が6例,駆瘀血剤が2例,和解剤が2例,解表剤が2例であった。頭部顔面外傷の治療においても,瘀血以外にも水毒や気の異常を見逃さないようにすべきであることを再認識した。

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© 2022 日本脳神経外科漢方医学会
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