高齢者は脳心血管疾患,感染症,骨折などのイベントを契機に身体活動性,認知機能が悪化し,生活の質(quality of life: QOL)の低下,介護者の負担増加などが生じてしまう。今回,各種のイベントによりサルコペニア・フレイル悪化のリスクを負った高齢者5症例に対し,補中益気湯を投与,適宜リハビリテーションを併用し,約3年間経過を観察した。全症例とも身体活動性は改善,維持,認知機能の低下は抑制され,健全な生活を送ることができた。健康長寿増進の観点から今後,高齢者に対する補中益気湯の有用性が示唆された。