本稿は,日本のイノベーションとアカデミズムについて,モード論を軸に検討することを目的としている.モード論は,1994年に発表されて以来,多くの論文に引用され,現在でも科学の変容を考えるときの重要な視点を与えている.ザイマンを始めとする主なモード論批判は,モード2知識生産によるモード1科学の変容やモード1科学への弊害が主な論点で,モード2知識生産の中身に関する検討は殆どなされていない.
本稿ではモード2知識生産をポスト・ノーマル科学の枠組みで分析することで,モード2知識生産が成立するのに必要な条件を考える.さらに,イノベーションのために必要となるモード2知識生産の課題について考える.結論として日本のイノベーションとアカデミズムの課題に対して,モード論が現在でも有効なことを示す.