科学技術社会論研究
Online ISSN : 2433-7439
Print ISSN : 1347-5843
原著
論文の図のカラー化の進行とその課題
生命科学ジャーナルCellを事例に
有賀 雅奈
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2024 年 22 巻 p. 64-81

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抄録

 本研究では現代の生命科学論文の図のカラー化の進行を明らかにしたうえでその要因を技術面や科学実践・認識面の変化などから考察し,課題を検討することを目的とした.分析対象としたのは1974 年創刊の学術ジャーナルCellである.Cellの研究論文を5 年おきに20 記事抽出したうえで5952 のグラフィックに分割し,グラフィックのカラー化がどのように進行したか分析した.分析の結果70 ~80 年代はほとんどがグレースケールだったのに対し,90 年代からカラーのグラフィックが増加し,2000 年代にカラーのグラフィック数がグレースケールを超えていたことが明らかになった.その要因として本稿ではデジタル化と実験技術の変化,実験結果の多重化・複雑化,図の出力方法の変化,研究者の動機,図制作方法の変化を指摘した.また,図の適切な利用と解釈を促すために,研究者へのビジュアルデザイン教育や図のリテラシー教育,色の標準化,色による悪意のある誘導の防止策とカラー料金の金銭的負担について検討する必要があることを指摘した.

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