日本神経回路学会誌
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「学習物理学」の創成:AI と物理学の融合研究領域
橋本 幸士
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2025 年 32 巻 2 号 p. 68-80

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抄録

「学習物理学」は,人工知能(AI)と物理学を融合し,両分野の進展を目指す新しい学問分野です.AI技術を物理学の解析や予測に活用するだけでなく,物理学の知見をAIの発展に生かすことで,双方向の進化を目指しています.量子系の計算や高エネルギー素粒子の識別,超伝導材料の解析といった研究にAIを応用することで,効率化や新たな知見の発見が進んでいます.日本では約60名の研究者が集う研究体制「学習物理学領域」が形成され,国際的にもアメリカやヨーロッパとの連携が進んでいます.もちろん,今後AIが物理学の本質にどのように影響を与えるかは未解明であり,科学の方法論としてAIがどのように受け入れられるかも議論の余地がありますが,AIの劇的な革新の中,「学習物理学」は,従来の科学的手法を変革し,新たな可能性を切り開く分野として注目されています.この分野の進展は,科学とAIの融合による未来の科学のあり方を示唆するものと言えるでしょう.本稿では,「学習物理学」の勃興や,2024年の1年間における新たな研究成果をまとめ,また,学問の歴史として量子論や重力理論の発展と比較しながら,AIと物理学の将来を占ってみることとします.

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