2025 年 32 巻 3 号 p. 140-150
近年,深層学習モデルは誤差逆伝播法を用いた学習により著しい性能向上を遂げている.しかしながら,生物学的な神経回路において誤差逆伝播法は実装が困難と考えられている.そこで,生物学的妥当性を持つ誤差逆伝播法に代わる学習則として,各層に局所的な目標と損失関数を設定して学習を行う局所学習則の研究が進められている.局所学習則は生物学的妥当性の観点から有望視される一方,誤差逆伝播法と比較すると学習効率や理論的理解の面で課題を残している.本稿ではまず,代表的な局所学習則である予測符号化ネットワークおよび目標伝播法を概説する.さらに,深層学習モデル向けのアルゴリズム研究において用いられる枠組みである無限幅モデルや線形ニューラルネットワークを用いることで,局所学習に新たな知見をもたらす可能性を探る.