日本神経回路学会誌
Online ISSN : 1883-0455
Print ISSN : 1340-766X
ISSN-L : 1340-766X
32 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
巻頭言
解説
  • 宮戸 岳
    2025 年32 巻3 号 p. 127-139
    発行日: 2025/09/05
    公開日: 2025/10/05
    ジャーナル フリー

    ニューラルネットワークと脳科学の両分野では,ニューロン間の「バインディング(結合)」が競合学習を促し,表現を圧縮することで深い層へ行くほど抽象的な概念が形成されることが古くから知られている.また近年では,時空間的表現が脳・人工知能の両方で重要な役割を果たす仮説も提唱されている.本研究ではこれらの知見を土台に,Artificial Kuramoto Oscillatory Neurons(AKOrN)を導入する.AKOrNは従来のしきい値型ユニットに代わる動的同期に基づいた人工ニューロンモデルであり,全結合・局所畳み込み・アテンションなど任意の接続設計と組み合わせ可能である.提案手法を用いて,教師なしの物体検出,敵対的頑健性,不確実性推定,推論能力など幅広いタスクで性能向上を確認した.これらの結果は,ニューラルネットワークの最も基礎的なレベル―すなわち「ニューロンモデル」―における前提を再考し,動的表現の重要性を示すものである.再現コードはこちらにて公開:https://github.com/autonomousvision/akorn.

  • 石川 智貴, 横田 理央, 唐木田 亮
    2025 年32 巻3 号 p. 140-150
    発行日: 2025/09/05
    公開日: 2025/10/05
    ジャーナル フリー

    近年,深層学習モデルは誤差逆伝播法を用いた学習により著しい性能向上を遂げている.しかしながら,生物学的な神経回路において誤差逆伝播法は実装が困難と考えられている.そこで,生物学的妥当性を持つ誤差逆伝播法に代わる学習則として,各層に局所的な目標と損失関数を設定して学習を行う局所学習則の研究が進められている.局所学習則は生物学的妥当性の観点から有望視される一方,誤差逆伝播法と比較すると学習効率や理論的理解の面で課題を残している.本稿ではまず,代表的な局所学習則である予測符号化ネットワークおよび目標伝播法を概説する.さらに,深層学習モデル向けのアルゴリズム研究において用いられる枠組みである無限幅モデルや線形ニューラルネットワークを用いることで,局所学習に新たな知見をもたらす可能性を探る.

  • 酒見 悠介, 竹内 知哉
    2025 年32 巻3 号 p. 151-160
    発行日: 2025/09/05
    公開日: 2025/10/05
    ジャーナル フリー

    スパイキングニューラルネットワーク(spiking neural network: SNN)は,人間の脳を模倣し,神経スパイクによる情報処理が可能である.SNNを基にした知能システムは,超低消費電力性が実現できるため,その実用化が期待されている.SNNの実用化においては,アルゴリズムとハードウェアの両方の発展が不可欠である.本解説記事では特に,SNNのアルゴリズム,特に発火時刻を微分することで得られる厳密な勾配を用いた学習則に着目する.発火時刻を直接最適化して得られるSNNは,発火時刻に多くの情報が込められ,少ないスパイクで情報処理が可能であるテンポラルコーディングを実現する.

  • 芳賀 達也
    2025 年32 巻3 号 p. 161-171
    発行日: 2025/09/05
    公開日: 2025/10/05
    ジャーナル フリー

    海馬と嗅内皮質は脳内の地図(認知地図)としての役割を担う脳部位として知られており,場所細胞やグリッド細胞のような空間に関する情報表現が存在する.本解説では,これらの空間表現に関する近年の実験的知見とモデル化の研究動向を概説し,空間表現と共通の枠組みでテキストデータから単語の意味表現が構築できることを示したモデルDisentangled Successor Information(DSI)を紹介する.このモデルにより,脳における認知地図表現の仕組みを言語のような複雑な意味や概念の表現へ拡張できる可能性について解説する.

報告
会報
編集後記
feedback
Top