1995 年 1 巻 2 号 p. 199-212
本報告では、光を必要としない細菌である硫酸塩還元菌、硫黄酸化細菌、メタン生成菌に注目し、これら細菌が処分環境に持ち込まれた場合、深部地質環境条件に適応できるか判断する目的で環境因子として pH、Eh をパラメータとした生理活性を実験的に確認し、Eh、pH に関しての耐性領域図の作成を行った。
処分場での微生物の生息条件のうち深部地質環境への耐性を実験的に検討することを目的として、pH、Eh を自動的に制御可能なファーメンタを制作した。本装置を用いて細菌を接種して増殖の有無を確認することにより実験的手法により耐性領域図の作成が可能となった。
硫酸塩還元細菌 (SRB)、硫黄酸化細菌 (SOB)、メタン生成細菌 (MPB) について同様にファーメンタを用いて 35℃ (SRB、MPB)、30℃ (SOB) で培養した。その結果、活性を示す Eh 領域は、SRB は Eh=-70~-340 mV の範囲で、pH は最大 8.6 (Eh=-340 mV の時)、Eh は最大-70 mV (pH=7 の時)であった。SOB は pH=7.5 で Eh=+240 mV 以上で pH=8 以上では増殖しなかった。また、MPBは pH=8 で Eh=-210 mV 以下であった。このことから処分環境として考えられるアルカリ、低 Eh の環境で SRB、MPB が生息可能であることが分かった。