原子力バックエンド研究
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研究論文
カルシウムイオンや金属鉄がガラス固化体の溶解/変質挙動に及ぼす影響
前田 敏克渡辺 幸一大森 弘幸坂巻 景子稲垣 八穂広出光 一哉
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2014 年 21 巻 2 号 p. 63-74

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抄録

 地層処分場で使用されるセメント系材料を起源とするカルシウムに富む環境や鉄製オーバーパックの存在がガラス固化体の溶解/変質挙動に及ぼす影響を調べるため,模擬ガラス固化体を用いて,CaCl2/Ca(OH)2溶液中や鉄を共存させた条件における静的浸出試験を行った.
 pH6から11のCaCl2/Ca(OH)2溶液中では,脱イオン水中に比べて,試験期間をとおしてガラス固化体の溶解/変質は抑制された.初期pH12に調整したCa(OH)2溶液中では,初期においてはガラス固化体の速い溶解/変質が見られたものの,溶解/変質にともない生成したカルシウムケイ酸塩にガラス固化体表面が覆われることによって溶解/変質速度は低下した.
 鉄が共存する条件では,試験期間をとおしてガラス固化体の溶解/変質が促進された.ガラス固化体表面と鉄との境界には鉄とケイ素を含む変質層が形成されており,熱力学的計算によると,浸出液は鉄ケイ酸塩が生成しやすい環境であることがわかった.このことから,鉄共存下では,ガラス固化体の網目構成元素であるケイ素が消費され鉄ケイ酸塩を生成することによって,ガラス固化体の溶解/変質が促進される可能性があると推察された.

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© 2014 一般社団法人日本原子力学会 バックエンド部会
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