2019 年 53 巻 4 号 p. 15-21
都市の風景は年々変化する.19世紀にカメラが普及して以来,人々が撮る写真には都市風景の移り変わりが記録されてきた.21世紀には,より手軽に写真を撮ることのできるデジタルカメラとスマートフォンが普及し,従来に比べて莫大な数の写真が撮られるようになった.一方で,フィルムに収められた写真は劣化や廃棄などにより,姿を消しつつある.本研究では,こうしたフィルム写真を活用して,都市風景の変化に対する理解と解釈としてのヴィジュアルリテラシーを深めること,また現在の都市風景を記録保存することを目的とし,ICT技術を用いてスマートフォンアプリケーションの開発を行っている.2016年にアプリケーションを用いた実施調査を行い,調査結果を受けて,2019年に対象地域を広げて再開発を行った.本稿では,二度の調査に対するアプリケーションの有効性について結果を考察し,また,今後の展開について述べる.