1997 年 4 巻 1 号 p. 3-7
天然地下水中におけるコロイド粒子は電荷を有し、かつ多分散系である。本研究では、帯電した球形コロイド粒子から構成される2分散系を対象として、Langevin方程式から予測される帯電球形コロイド栓子の拡散係数とStokes-Einsteinの関係式から予測される自由水中での拡散係数との比を評価している。具体的には、2種類のコロイド聞の電荷比、粒径比、数密度比依存性を議論している。その結果、拡散係数比は1よりも小さいことがわかった。このことは、帯電コロイド粒子は静電気的相互作用によって誘起された摩擦力によって拡散速度が減速されることを示している。着目するコロイド粒子の相対数密度比が大きいときには、拡散係数比は電荷や粒径には余り依存しないが、小さいときにはもう一方のコロイド粒子に対する電荷比や粒径比が小さくなるにしたがい拡散係数比は減少することがわかった。