1997 年 4 巻 1 号 p. 9-17
銀コロイドおよび酸化銀コロイドに吸着させたU(VI)イオンのラマンスペクトルを、幅広いpH範囲にわたり測定をおこなった。その結果、UO22+の対称伸縮振動によるラマンバンドは、銀コロイドへの吸着にともなって大きく短波数側にシフトすること、またpHの変化によってそのシフト量が変化することが観測された。このことからU(VI)イオンの銀コロイドへの吸着は、部分的な配位子の解放を含みつつも、すべての配位子を解放するものではないことが明らかにされた。
さらに、銀コロイドへ吸着したU(VI)イオンと酸化銀コロイドへ吸着したU(VI)イオンのラマンスベクトルを比較することにより、U(VI)イオンの両コロイドへの吸着の違いを明らかにした。