原子力バックエンド研究
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研究論文
圧縮ベントナイト中の粘土粒子の配向特性および核種拡散移行経路に及ぼす粘土鉱物含有率および圧縮成型方向の影響に関する基礎的研究
佐藤 治夫
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2002 年 9 巻 1 号 p. 49-60

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抄録

 高レベル放射性廃棄物の地層処分において, 緩衝材として使用が検討されている圧縮ベントナイト中の粘土粒子の配向性および核種拡散移行経路に及ぼす粘土鉱物の含有率および圧縮方向の影響について評価することを目的として, 走査型電子顕微鏡(SEM)によるベントナイトの構造観察および非収着性核種のトリチウム(HTO)を用いた透過拡散実験を行った。SEM観察および透過拡散実験は, ベントナイトの乾燥密度をパラメータとして, 圧縮成型方向に対して同軸方向および鉛直方向について行った。ベントナイトは, 主要構成粘土鉱物のスメクタイト含有率の異なるクニピアF®およびクニゲルV1®を使用した。スメクタイト含有率が50wt%のクニゲルV1®では, 圧縮成型方向に対して両方向とも粘土粒子の構造に変化が見られなかったが, スメクタイト含有率がほぼ100wt%のクニピアF®では, 圧縮成型方向に対して鉛直方向に粘土粒子が配向する様子が観察された。この結果は, 拡散実験より得られたHTOの実効拡散係数の傾向とも調和的であり, ベントナイト中のスメクタイト含有率は粘土粒子の配向性に影響を及ぼすと共に, 核種の拡散移行経路にも影響を及ぼすことを示している。

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© 2002 社団法人日本原子力学会 バックエンド部会
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