2018 年 10 巻 1 号 p. 56-64
農業の化学化へのアンチテーゼから始まった有機農業運動もその価値が広く認識されるようになり,市場において一定のマーケットを占める位置まで発展してきた.Organic 3.0の議論は,有機農業がメインストリームの農業となるべき新たな技術開発および流通革命を模索している.この中で,日本の有機農業技術の中には不耕起・草生やもみ殻燻炭,ボカシ技術など特筆すべきユニークな取り組みがある.現在多様な有機農業が展開される中で,より環境への負荷の少ない有機農業の実現は一つの大きな課題である.その意味で,自然農法など省資源型の有機農業技術は改めて注目されるが,これらの農法が果たして経済的に実現可能なものか?どう改善すれば経済的に実現可能か?などの課題解決が求められる.その意味で,自然共生型の有機農業技術の新しい展開と再評価が求められるものと考える.