2018 年 10 巻 1 号 p. 65-77
本論文はGAP認証取得の条件と効果を実証的に考察した.近年,GAP認証取得は急増してきたが,著しい地域偏在性を有し,北海道型,静岡・鹿児島型,愛媛型の3つのタイプに分かれる.認証取得を規定する外部環境要素としてGAPの認知度,地域条件,きっかけの有無,農業経営構造,組織条件の5つが検出された.生産者の主体的要因として市場または価格条件,希少資源の技術効率,所得条件の3つが重要であることを比較静学的考察より明らかにした.実態分析では,GAP取得は生産者意識向上や生産管理の面で顕著な効果を挙げたのに対して,販売や所得の面で必ずしも明確でないことを明らかにした.これらの結果を踏まえて,多様なGAPの信頼性,業者牽引への不安,農協牽引型取組の不安定性,有機JAS認証への影響の4つの課題を提起した.