有機農業研究
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【技術論文】
北海道の有機栽培露地畑における収量水準と土壌化学性との関係:土壌診断のための基準値の試案
中川 祥治井川 幸一阿部 真久清水 幸一
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2019 年 11 巻 2 号 p. 20-28

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抄録

北海道内70か所の農家が管理する有機栽培露地畑を対象として,収量水準と土壌化学性との関係から土壌診断のための基準値の試案を作成した.周辺の慣行栽培畑を目安として個々の農家に収量水準を判断してもらうと,「少ない」が32圃場,「普通」が36圃場および「多い」が2圃場となった.「多い」が少なかったので,比較する収量水準群を少収量群(n=32)と普通+多収量群(n=38)の2つにした.土壌化学性はpH(H2O),EC, 全C, 全N, C/N比,交換性CaO, 交換性MgO, 交換性K2O, Ca/Mg比,Mg/K比,CEC, 塩基飽和度,NH4-N, NO3-N, 可給態N, 熱水抽出性N, 可給態P2O5, P2O5吸収係数,ClおよびSO4-Sを測定あるいは算出した.それら化学性について統計的に2群間の比較をしたところ,普通+多収量群は少収量群よりもNO3-N(P=0.006),SO4-S(P=0.038),熱水抽出性N(P=0.074)およびC/N比(P=0.082)の値が高く,塩基飽和度(P=0.013),pH(H2O)(P=0.016)およびMg/K比(P=0.076)の値が低かった.これら7項目の土壌化学性のうち5項目は4種類の肥料の施用有無との関係がみられたが,それら肥料の施用有無と収量水準との関係はあまり明確ではなかった.土壌診断のための基準値の試案として,各土壌化学性における普通+多収量群の第1四分位および第3四分位をそれぞれ下限および上限とすることを提案した.土壌診断では2群間に差がみられた7項目を重視すべきであるが,毎年の測定は,簡易に測定できるNO3-NとpH(H2O)で良いと考えられる.

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© 2019 日本有機農業学会
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