水稲の育苗では,パイプハウスや被覆資材を利用して温度や日射量を適切に管理する必要があるが,育苗規模や育苗時期の拡大に伴って,これまでよりも幅広い温度条件での育苗管理が求められるようになってきた.また化学合成農薬に依存しない有機栽培の育苗では,より厳格な温度管理が必要になる.特に晴天高温となった場合には,苗焼けなどの高温障害のリスクを伴う.本研究では,晴天高温時にも高い昇温抑制効果を有する高温対策被覆資材を開発すると共に,その使用方法を検討した.新被覆資材(トーカンほなみ/東罐興産)は,従来の被覆資材(シルバーラブ#80)に比べて5°C以上の昇温抑制効果を備え,高温障害の発生を抑止できることを確認した.曇天低温が続く場合には温度が上がらずに生育遅延が顕著となったが,シルバーポリトウ#80を上掛けすることで生育遅延は解消できた.新被覆資材を用いることで育苗におけるリスク管理を簡便化することができ,露地プール育苗と併せて,有機栽培用の育苗にも応用可能であることが確認された.