有機農業研究
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【論文】
山梨県北杜市における野菜の有機栽培圃場の実態調査からみた耕種的特徴
赤池 一彦國友 義博上野 直也平林 正光濱野 周泰
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2013 年 5 巻 2 号 p. 26-36

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抄録

山梨県北杜市で,野菜の有機栽培が成立している要因を,農家のアンケート調査や現地圃場の実態調査から抽出し,次のような耕種的な特徴を得た.①作付けは多品目を前提としながら,果菜類と葉菜類の数品目を中心品目として位置づけていた.②使用品種は作り易さや早晩性,収量性,耐病性の有無など,作付け品目に合わせて選択していた.③1枚の圃場に複数品目が作付けられるよう畦毎にブロック状の配置をしていた.④果菜類では病害虫全般を,葉菜類では虫害を特に問題としており,対応策として,耐病性品種の利用,適期作付け,疎植,混作,雨よけ,被覆資材の利用等の手段を講じていた.⑤有機質肥料は性質や肥効の違いを考慮に入れ,資材の使い分けや施用量の調節を行っていた.⑥栽植法は,通路幅を広くとった疎植とし,採光,通気性の確保を行い,畦間や畦畔は自生する雑草を活かした草生管理を行っていた.⑦野菜の作付け期間中の圃場の植生は,畦間は一年生雑草,畦畔は多年生雑草が主であった.⑧有機栽培圃場では作物の葉上や畦間において多くの土着天敵の生息が認められた.⑨圃場の作付けローテーションは,野菜を数グループに分け,毎年グループ毎に作付け圃場が移動するように配置していた.ナス科野菜は,連作障害を避けるためにローテーション間隔を 3 年以上としていた.

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© 2013 日本有機農業学会
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