日本臨床皮膚科医会雑誌
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治療IV 今、どのような治療があるか
ジベル薔薇色粃糠疹
三浦 俊祐
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2007 年 24 巻 1 号 p. 16-21

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抄録

ジベル薔薇色粃糠疹 (PR) は、思春期から30歳代までにかけて好発し、現在までの所、HHV-6、7が最も有力な感染因子として疑われている。多くの患者では掻痒はないか軽度であり、1~2ヵ月の経過で自然治癒する予後良好な疾患であるが、特徴的な皮疹と、発疹出現後の急速な経過により、患者の衝撃、不安は強い。現在行われている薬物療法や光線療法では病悩期間を短縮させる事はできないとされている。
当院では、時間をかけて病態を説明するとともに、無治療を基本とし、掻痒の強い場合に対症療法を行っている。2004年10月から2006年4月までの19ヵ月間に受診した56名 (男9名、女47名、9~71歳、平均年齢33.9歳) につき、検討を加えた。
患者が最も不安に感じる事は原因、感染性、予後であり、初診時の説明により軽減された。56名中5名 (8.9%) がかゆみで再診したが、初診時に「掻痒あり」、「掻痒軽度」、「なし」の3群に分けた場合、「あり」群の14名中2名 (14.2%) 、「軽度」群の25名中3名 (12%) がかゆみで再診し、「なし」群では17名中0名であった。治療の有無では、初診時にステロイド外用剤and/or抗ヒスタミンないしアレルギー剤による治療を行った11名中1名と、初診時無治療か保湿剤のみであった45名中4名がかゆみで再診した。
当院の治療方針は9割以上の患者にとって必要十分条件を満たしたと思われるが、発症直後に受診した場合、病勢を見越して掻痒が軽度でも対症療法をしておいた方が良かったと思われる例もあった。
抗ヘルペスウイルス剤やエリスロマイシンの全身投与で治癒までの期間が短縮できるという報告も近年、なされており、今後、検討されるべきものと考えられる。(オンラインのみ掲載)

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© 2007 日本臨床皮膚科医会
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