日本臨床皮膚科医会雑誌
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第58回東京都皮膚科医会学術集会
ステロイド外用剤の使い方
―正しい知識を持って上手に使おう―
相馬 良直
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2007 年 24 巻 3 号 p. 233-237

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抄録
ステロイド外用剤の副作用は、外用部位の皮膚に現れる局所的副作用と、吸収されたステロイドの全身影響である全身的副作用に分類される。全身的副作用は、強力なステロイドを長期大量に使用した場合にのみ現れるもので、通常の外用で出現することはない。局所的副作用には毛包炎、ざ瘡、白癬、皮膚萎縮、紫斑、毛細血管拡張、多毛、色素脱失、酒さ様皮膚炎などがあり、使用したステロイドの強さ、部位、使用期間などにより、様々な副作用が出現しうる。皮膚科医はこれらの副作用について熟知し、その予防に努め、適切な対策を講じなければならない。アトピー性皮膚炎における白内障、顔面難治性紅斑、頸部さざなみ状色素沈着が、ステロイドの副作用ではないかする議論がかつて存在したが、今ではほぼ否定されている。使用するステロイドの強さと処方量は、皮疹の重症度と面積で判断するが、外用コンプライアンス上昇のためには、なるべく単純な処方とし、1日当たりのdoseを分かりやすく指示するのがよい。いわゆるタキフィラキシーについては、全く存在しないと考えるのは誤りであるが、臨床的に重大な問題に結びつくほどの影響はないと考えられる。(オンラインのみ掲載)
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© 2007 日本臨床皮膚科医会
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