日本臨床皮膚科医会雑誌
Online ISSN : 1882-272X
Print ISSN : 1349-7758
ISSN-L : 1349-7758
24 巻 , 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
平成18年度中国支部総会・学術講演会
学術講演会 環境要因と皮膚疾患
  • 上ノ土 武, 柴田 智子, 古江 増隆
    2007 年 24 巻 3 号 p. 211-214
    発行日: 2007/04/15
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    油症は1968年に西日本一帯の広範囲な住民の方々が、熱媒体として使用されていたPCBの混入した食用米ぬか油を摂取することによって起こった食中毒事件です。その後、研究班によってPCDFなどのダイオキシン類も混入していたことがつきとめられ、油症はPCB類とダイオキシン類による複合中毒であったことが証明された。油症の初期には、全身倦怠感、食欲不振、頭重感などの非特異的な全身症状があらわれ、引き続いて、油症に特徴的な症状や所見として、ざ瘡様皮疹、爪の着色、眼脂過多、歯肉部の色素沈着、下肢の知覚過敏あるいは鈍麻、月経不順、乳幼児の成長遅延などがあらわれた。発生して40年が経過しようとしているが、油症患者の多くは依然として多くの症状に苦しんでいる。全国油症治療研究班では長年、データの蓄積と治療法の確立に努めており、近年も新たな知見が得られている。漢方薬やコレスチミドの内服による臨床試験も行われている。近年社会的に関心が高まりつつあるダイオキシン類の健康被害の解明に、油症研究によってに得られた医学的蓄積がその一翼を担うことを期待したい。(オンラインのみ掲載)
第22回三支部合同学術集会
教育講演
  • 伊藤 雅章
    2007 年 24 巻 3 号 p. 221-228
    発行日: 2007/04/15
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    生下時から思春期までにヒト毛髪は次第に発達するが、以後、男女差や個人差はあるものの、加齢による形態変化を示す。はじめに、毛器官の構造、毛周期のメカニズム、毛髪色の仕組みについて解説した。続いて、毛髪の加齢現象として、壮年性・老人性脱毛症、老人性多毛症および白髪を紹介した。壮年性・老人性脱毛症は男性型脱毛症と同様のものとされ、頭頂~前頭の軟毛化が起こり、男性ホルモンと毛乳頭細胞の働きが重要とみられている。一方、とくに男性では、逆に、加齢とともに眉毛、髭、耳毛、鼻毛が多毛になる。白髪は、毛母メラノサイトの機能低下ないし脱落によるが、近年、メラノサイト幹細胞の分化・増殖の問題が議論されている。(オンラインのみ掲載)
第58回東京都皮膚科医会学術集会
  • 加藤 則人
    2007 年 24 巻 3 号 p. 229-232
    発行日: 2007/04/15
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    コーチングとは「ゴールを達成したり、ゴールまでの障害を打開するための答えや能力は、その人自身が持っている」という前提のもとに「相手が望むゴールに到達するために、その人自身の意志に基づく自発的行動を引き出し、その行動を継続させ、よりよい方向に向かっていくようサポートすること」を意味する。コーチは上の立場から指導や指示を行うのではなく、傾聴、質問、要約、提案の4つのスキルを用いて、相手の自発的な目標設定や目標に向かうための行動プランを引き出し、その成果を確認する、というプロセスを繰り返す伴走者の役割を担う。コーチングのスキルはスポーツやビジネスだけでなく、対等な関係で患者のニーズと自主性を引き出し、患者自らの意志で選択して行動をするように導く、医療コミュニケーションの手段としても、大変有用である。
    アトピー性皮膚炎のような慢性疾患では、患者自身の治療意欲を高めることが、治療の成果を上げる上で重要である。医療においては、答えは医師が持っていることがほとんどであるが、医師から押しつけられたゴールや指示と違い、患者自身が導き出した目標に向かうための自発的な行動の方が、格段に患者の意欲が高まり、治療の成果や患者満足度が上がることが期待される。(オンラインのみ掲載)
  • ―正しい知識を持って上手に使おう―
    相馬 良直
    2007 年 24 巻 3 号 p. 233-237
    発行日: 2007/04/15
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    ステロイド外用剤の副作用は、外用部位の皮膚に現れる局所的副作用と、吸収されたステロイドの全身影響である全身的副作用に分類される。全身的副作用は、強力なステロイドを長期大量に使用した場合にのみ現れるもので、通常の外用で出現することはない。局所的副作用には毛包炎、ざ瘡、白癬、皮膚萎縮、紫斑、毛細血管拡張、多毛、色素脱失、酒さ様皮膚炎などがあり、使用したステロイドの強さ、部位、使用期間などにより、様々な副作用が出現しうる。皮膚科医はこれらの副作用について熟知し、その予防に努め、適切な対策を講じなければならない。アトピー性皮膚炎における白内障、顔面難治性紅斑、頸部さざなみ状色素沈着が、ステロイドの副作用ではないかする議論がかつて存在したが、今ではほぼ否定されている。使用するステロイドの強さと処方量は、皮疹の重症度と面積で判断するが、外用コンプライアンス上昇のためには、なるべく単純な処方とし、1日当たりのdoseを分かりやすく指示するのがよい。いわゆるタキフィラキシーについては、全く存在しないと考えるのは誤りであるが、臨床的に重大な問題に結びつくほどの影響はないと考えられる。(オンラインのみ掲載)
アトピー性皮膚炎発症要因調査の試み
  • 青木 敏之, 笹川 征雄, 玉置 昭治, 遠藤 秀彦, 平山 公三, 片岡 葉子, 幸野 健, 佐藤 健二, 長野 拓三, 羽白 誠, 山田 ...
    2007 年 24 巻 3 号 p. 238-244
    発行日: 2007/04/15
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    アトピー性皮膚炎 (AD) は、近年なお減少の傾向を認めず、その診断、原因、病態、治療にはまだなお不明な点がたくさん残されている。診療中のADが悪化するとき、その原因を捉えることは容易ではない。その悪化が経年、年次、季節などによる恒常的変動なのか、それとも一人一人の個別的要因によるものなのか、あるいはそれらが同時進行的に起こっているのかの判断が難しいからである。そのために薬物療法以外の対応として何をすればよいのか苦慮する。そこで、新たに発症した症例を対象にすれば、発症状況がより単純に把握できて、発症要因の精査がより容易であり、それがすなわちADの悪化要因と認めることができるのではないかと考え、この調査を試みた。
    ADが初発した可能性のある110症例を収集し、年齢、初診月、初発月、初発部位、家族歴、既往歴、さらに職、住、食、生活、空気、皮膚環境、ストレスなどを調べた。発症前3ヶ月以内に新築入居が10.9%、居住地変更が21.8%に上ったほか、体調不良が21.8%、睡眠不足が47.3%、過労状態が30.9%もあった。ADを含む湿疹、皮膚炎の発症要因として、皮膚に対する各種の刺激、ストレス、住居環境、アレルギーなどが有力候補として推測できた。(オンラインのみ掲載)
在宅医療委員会報告
  • 柳澤 宏実, 森田 健司, 青木 洋子, 幸野 健, 二村 省三, 袋 秀平, 船井 龍彦, 村木 良一, 今井 龍介, 種田 明生, 栗原 ...
    2007 年 24 巻 3 号 p. 245-252
    発行日: 2007/04/15
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    日本臨床皮膚科医会在宅医療委員会では、日本看護協会との共同事業として平成17年7月~11月にかけて、日本看護協会立訪問看護ステーション13施設にて、何らかの基礎疾患を有して訪問看護サービスを受けている566名の在宅療養者を対象として皮膚疾患の罹患頻度と対応の現状、ならびに現場にて生じている数々の問題点を調査・検討した。この調査の結果、70.5%という高率で在宅療養者に何らかの皮膚疾患が認められることがわかった。疾患別頻度では、皮膚真菌症・湿疹皮膚炎群が多く、褥瘡、疥癬の頻度は低かった。足に関連する訴えが比較的多く (爪のトラブルやタコ・ウオノメ) 注目された。これら皮膚疾患の約72%は、なんらかの皮膚科的治療を受けていたが、皮膚科専門による治療は30%にすぎなかった。この調査によって得られた、在宅療養者の皮膚疾患頻度は、以前同委員会にて調査した高齢者医療施設入所者における皮膚疾患頻度とほぼ同様であり、これは、在宅・施設にかかわらず70%以上にのぼる多くの方々が皮膚科専門医療を切望しているという現実であり、これに答えるべく、われわれ皮膚科医もさらに積極的に皮膚科在宅医療を取り組むべき必要性が示唆された。(オンラインのみ掲載)
feedback
Top