日本臨床皮膚科医会雑誌
Online ISSN : 1882-272X
Print ISSN : 1349-7758
ISSN-L : 1349-7758
アトピー性皮膚炎発症要因調査の試み
アトピー性皮膚炎発症要因調査の試み
青木 敏之笹川 征雄玉置 昭治遠藤 秀彦平山 公三片岡 葉子幸野 健佐藤 健二長野 拓三羽白 誠山田 秀和櫻井 真也北村 公一
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 24 巻 3 号 p. 238-244

詳細
抄録
アトピー性皮膚炎 (AD) は、近年なお減少の傾向を認めず、その診断、原因、病態、治療にはまだなお不明な点がたくさん残されている。診療中のADが悪化するとき、その原因を捉えることは容易ではない。その悪化が経年、年次、季節などによる恒常的変動なのか、それとも一人一人の個別的要因によるものなのか、あるいはそれらが同時進行的に起こっているのかの判断が難しいからである。そのために薬物療法以外の対応として何をすればよいのか苦慮する。そこで、新たに発症した症例を対象にすれば、発症状況がより単純に把握できて、発症要因の精査がより容易であり、それがすなわちADの悪化要因と認めることができるのではないかと考え、この調査を試みた。
ADが初発した可能性のある110症例を収集し、年齢、初診月、初発月、初発部位、家族歴、既往歴、さらに職、住、食、生活、空気、皮膚環境、ストレスなどを調べた。発症前3ヶ月以内に新築入居が10.9%、居住地変更が21.8%に上ったほか、体調不良が21.8%、睡眠不足が47.3%、過労状態が30.9%もあった。ADを含む湿疹、皮膚炎の発症要因として、皮膚に対する各種の刺激、ストレス、住居環境、アレルギーなどが有力候補として推測できた。(オンラインのみ掲載)
著者関連情報
© 2007 日本臨床皮膚科医会
前の記事 次の記事
feedback
Top