日本臨床皮膚科医会雑誌
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一般演題1 皮膚潰瘍・腫瘍など
穴あきポリエチレンを用いた褥瘡治療
藤広 満智子
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2007 年 24 巻 4 号 p. 298-302

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抄録
主として仙骨部褥瘡に対し、台所用穴あきポリ袋を用いたOpen Wet-dressing Therapy (OWT) を行ったところ、褥瘡の急速な改善を認めた。方法は、褥瘡を微温湯で洗浄し、適当な大きさに切った穴あきポリ袋を貼った紙オムツをするという簡単なものである。状態に応じて、デブリートメント、抗生剤軟膏ガーゼ処置の後に行った。その特長は1) 傷が治るのに不可欠な湿潤環境を保つ、2) 穴があるので適度にドレイナージができる、3) ずれによる皮膚障害を防ぐ、4) 皮膚にテープを貼らないためテープかぶれを起こさない、5) ガーゼのような厚みがないので圧迫がない、6) 短時間に実施できる、7) 痛みが少ない、8) 感染をおこさない、9) 安価で入手が容易、ということである。すでに200例以上をこの方法で処置し、その手軽さと治癒の早さから患者、看護師の評価は高く、現在は褥瘡患者の9割をこのOWTで治療している。
褥瘡報告書の転帰を集計した結果、OWT導入前78例と導入後の118例の転帰は、治癒の割合が30.8%から51.7%と有意に上昇した。当科ではこの経験から下腿潰瘍などの褥瘡以外の難治性潰瘍にもOWTを用いているが、その有用性は医療用ドレッシング材に劣らないと評価している。(オンラインのみ掲載)
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© 2007 日本臨床皮膚科医会
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