日本臨床皮膚科医会雑誌
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論文
悪性黒色腫の自然消退に類似した所見を呈した脂漏性角化症
佐藤 俊次大原 國章
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2015 年 32 巻 2 号 p. 198-201

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抄録

 症例は77歳,男性の右こめかみの,以前から存在していた黒色結節.境界鮮明な淡褐色局面の内部にある結節の一部が最近になって崩れてきたため,癌を心配して来院した.ダーモスコピーにて,黒色結節部は一部では偽ネットワークを形成するも大部分は毛孔が覆い尽くされた均一無構造領域を示した.さらに,結節の下方部の淡紅色無構造領域では黒色小点や青灰色小球構造が散在しているのが観察された.これらは病変の自然消退の所見であり,進行した悪性黒色腫によく観察される所見である.しかしながら,病理組織学的検査の結果は脂漏性角化症であった.4年後の再診時には,無治療にもかかわらず病変の完全な消失が確認された.脂漏性角化症における自然消退現象の報告は数例あるものの稀な病態である.本症例のように自然消退構造を伴う脂漏性角化症では,臨床およびダーモスコピー診断において悪性黒色腫との鑑別が困難なことがあり病組織学的診断が必要であると思われた.

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